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コラム

2020.10.22投資、運用

「お金の運用なんて自分には関係ない」と思っている人に考えてほしいこと

お金の運用

「お金の運用なんて、自分には関係ない」
皆さんの中には、そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、かつての日本ではそうでした。株や不動産でお金を増やそうなんて考えるのは、一握りのお金持ちかギャンブラーだけ。ふつうの人は働いて給料を稼ぎ、余ったお金は貯金する。そうやって定年まで働けば、老後は退職金と年金でゆったり暮らしていける。そんな幸せな時代が長く続きました。

しかし、時代は大きく変わりました。
「ふつうの人もお金の運用が必要」な時代になったのです。

一体、なぜなのでしょうか?

「給料が毎年増える時代」は終わった

ここ数年、「ベースアップ」という言葉を久々に耳にするようになりました。
ベースアップというのは、年齢や勤続年数に応じた昇給(定期昇給)とは異なり、全社員の基本給部分の水準を引き上げることです。簡単に言うと「基本給の底上げ」ですね。

高度経済成長期から1990年代前半まで、多くの会社ではこのベースアップが毎年行われていました。しかし最近では、人件費の安い新興国との競争や、デフレ、非正規雇用の増加などによって、会社の業績が上がっても給料は上がりにくくなってきています。それに加えて、給与体系が年功序列型から成果報酬型中心になりました。

「ふつうに働いていれば毎年給料が上がっていく」という良き時代は、過去のものと言えるでしょう。

「金利でお金が増える時代」は終わった

1980 年、郵便局の定額貯金(3 年以上)の金利は7.25%もありました。郵便局にお金を預けていれば、10 年で2 倍になったのです。預けておくだけでお金が2倍になるなんて、今では夢のような話ですね。

現在、その金利はわずか0.002%(2020 年9月末現在)。100 万円を10 年間預けても、金利はたったの200 円です。もはや、銀行や郵便局に預ければ金利でお金が増える時代ではありません。

つまり「運用しなくてもお金が増える時代」は終わった

こうして見ると、かつての日本は「運用でお金を増やさなくてもよかった」のではなく、「運用しなくてもお金が増えた」のです。

会社では、年功序列の給与体系と毎年のベースアップによって、仕事の成果にかかわらず毎年給料が増えていく。投資や運用をしなくても、郵便局に預けておけばお金は10年で2倍になる。そんな環境であれば、ふつうの人はあえてリスクをとってお金を運用しようとは思わないでしょうし、またその必要もありませんよね。

では、現在はどうでしょうか。

1990年代の後半以降、平均給与はほとんど伸びていないどころか、しばしばマイナスになってさえいます。定額貯金の金利は、さすがにマイナスにはなっていませんが、ほとんどゼロ。「運用しなくてもお金が増える時代」は、完全に終わったのです。
下のグラフを見ると、そのことがよく分かります。

給与伸び率と金利の推移

お金の運用は「特別なこと」から「普通のこと」に

ふつうに働いているだけでは給料が増えず、ふつうに預けているだけではお金が増えない。働いてお金を稼ぐことができる間は、それでもなんとかやっていけるかもしれません。しかし、働けなくなったらそうはいきません。老後は誰にでもやってきます。

お金だけでは幸せにはなれないと思いますが、働いているうちに十分なお金を準備しておかなかったために人生の終盤でお金の苦労をするのは、何としても避けたいところです。

もちろん、給与水準や雇用形態は人によって違うので、毎年給料が上がり続けている人もいるでしょう。ですから、「すべての人に運用が必要」と言うつもりはありません。ましてや、運用だけでお金の問題がすべて解決するわけでもありません。ただし、少なくとも「お金の運用なんて自分には関係ない」と言い切ることは、もはやできないのではないでしょうか。

これからは、投資や運用は一部の人だけがする「特別なこと」ではなく、私たち一般の生活者がする「普通のこと」になっていくのでしょう。
2020.10.22修正(初出2017.11.24)

まとめ

  • 1990年代前半までは、ふつうに働いていれば給料は毎年増えた。
  • 金利が高かったころは、銀行や郵便局に預けておくだけでお金が増えた。
  • しかし現在では給料はなかなか上がらず、金利もほとんどゼロ。ふつうの人も「お金の運用が必要な時代」になった。

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