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コラム

2020.10.22イデコ制度

会社で確定拠出年金に加入していた人が転職(中途退職)したときは、半年以内にイデコに移換しましょう

転職(中途退職)したら資産の移換が必要

転職(中途退職)したら資産の移換が必要

確定拠出年金には、個人で加入する「個人型(イデコ/iDeCo)」と、会社など勤務先で加入する「企業型」の2つの種類があります。どちらも、基本的には60歳までお金を引き出すことはできません。

そのため、勤務先で「企業型 確定拠出年金(以下、企業型)」に加入していた人が転職(中途退職)した場合は、企業型の資産をどこかに移さなければいけません。これを、資産の「移換」といいます。

1.まずは転職先の制度をチェック!

転職した人は、まず新しい職場に企業型の制度があるか確認しましょう。総務や人事労務の担当者に「前の職場で企業型 確定拠出年金に加入していたのですが、こちらの会社にもありますか?」と聞いてみてください。

2.転職先に企業型がない場合は、個人型(イデコ)に移換

転職先の会社に企業型がない場合は、個人型(イデコ)に移換することになります。また、転職ではなく独立してフリーランスになった人や、退職して専業主婦になった人も同じです。

手続きは、次のような流れになります。

① 個人型(イデコ)の申込書類を入手
まずは移換先となる個人型(イデコ)の申込書類を入手しましょう。このとき、個人型(イデコ)で掛金の積立をするか否かによって、申込書類が違うので気をつけましょう。
⇒ 申込書類を取り寄せる

② 必要書類を返送
取り寄せた資料に同封されている「個人別管理資産 移換依頼書」等を返送します。

③ 移換完了
資産の移換が完了した時点(申込みから1~2ヵ月程度)で、「移換完了通知書」等が郵送されます。なお、移換される資産は一旦すべて現金化され、その後、新たな運用商品の購入に充てられます。

3.転職先に企業型がある場合

「企業型がある」という答えが返ってきた場合は、次に、その制度が「全員加入」なのか「任意加入(選択制)」なのかを確認しましょう。企業型によっては、個人型(イデコ)と併用できる場合もあります。これも、転職先の担当者に聞けば教えてもらえます。

○転職先の制度が「全員加入」の場合は、企業型に移換
転職先の制度が「全員加入」であれば、新しい職場の企業型に加入した上で前職の資産をそちらに移換します。

○転職先の制度が「任意加入(選択制)」の場合は、企業型か個人型かを選択して移換
転職先の制度が「任意加入」の場合は、同じく転職先の企業型に加入して資産を移換するか、企業型には加入せず自分で個人型(イデコ)に加入してそちらに移換するか、のどちらかを選択することになります。

どちらが良いか考えるときのポイントは、①コスト(低い方が良い)、②掛金の上限額(大きい方が良い)、③運用商品(魅力的なものがある方が良い)の3点です。

コスト面では、企業型は手数料を会社で負担してくれる場合がほとんどなので、基本的には企業型が有利です。掛金の上限額については、個人型(イデコ)は23,000円(企業年金加入者は12,000円)と一定ですが、企業型は会社によって様々です。これも転職先の担当者に確認しましょう。

運用商品の良し悪しは、個人の考え方にもよるので一概には言えません。しかし、資産形成においてはこれが一番重要です。手数料の違いはせいぜい年間数千円程度ですが、運用商品の成績差は、場合によっては数十万から数百万円もの違いを生みかねないのですから。老後までの何十年ものあいだ、信頼してお金を投じられる運用商品があるかどうか、しっかり考えて判断しましょう。

<企業型への移換手続き>
手続きは、次のような流れになります。

① 転職先の企業型へ加入
移換するためには、その会社の企業型に加入していることが前提となります。加入手続きは職場によって異なりますので、転職先の担当者にご確認ください。またその際に、前職でも加入していたことを担当者に伝えておくと、後の手続きがスムーズになって良いでしょう。

② 「個人別管理資産 移換依頼書」を転職先に提出
加入手続きが済んだら、いよいよ移換です。転職先の担当者から「個人別管理資産移換依頼書」という書類をもらい、必要事項を書いて担当者に提出してください。

③ 移換完了
資産の移換が完了した時点(申込みから1~2ヵ月程度)で、「移換完了通知書」等が郵送されます。なお移換される資産は、一旦すべて現金化された後に新たな運用商品の購入に充てられます。

4.移換手続きをしないと、強制的に「国民年金基金連合会」へ移換されます

移換手続きの期限は、前職の加入者資格を喪失した月の翌月から起算して6ヶ月以内(下表参照)です。それまでに資産移換を行わないと、前職での企業型の資産はすべて現金化され、「国民年金基金連合会」へ強制的に移換されてしまいます(強制移換)。強制移換には様々なデメリットがありますので、転職後は早めに移換手続きをした方が良いでしょう。

(手続き期限の考え方)

退職日(例)資格喪失日移換手続きの期限
1月1日~30日
(月末日以外の日に退職した場合)
1月2日~31日
(退職した月)
7月末日
(退職した月から数えて7ヵ月目の月末日)
1月31日
(月末日に退職した場合)
2月1日
(退職した月の翌月)
8月末日
(退職した月から数えて8ヵ月目の月末日)

※企業型の資格喪失日は「退職日の翌日」です

 「強制移換」のデメリット

強制移換には、次のようなデメリットがあります。

① 運用ができない
預金や投資信託で運用することができなくなり、利息もありません。

② 余計な費用がかかる
強制移換の際には、移換手数料として4,348円が徴収されます。その後も、継続して月額52円(年間624円)の費用がかかります。

③ お金が受取れない(引き出せない)
通常、確定拠出年金(イデコ)では60歳になると積み立ててきたお金を「老齢給付金」として受取ることができるようになります。しかし、強制移換された状態では受取ることができません。

④ 加入者期間にカウントされない
60歳になった時点での通算加入者等期間が10年に満たない場合、受給可能年齢が最大で65歳まで延期されてしまいます。強制移換されている間は加入者等期間とみなされないため、後になってから移換しても、老齢給付金が60歳では受取れなくなるおそれがあります。

(老齢給付金の受給可能年齢)

60歳到達時の通算加入者等期間受給可能年齢
10年以上60歳
8年~10年未満61歳
6年~8年未満62歳
4年~6年未満63歳
2年~4年未満64歳
2年未満65歳

 ※通算加入者等期間:個人型(イデコ)の加入者期間・運用指図者期間、企業型の加入者期間・運用指図者期間、旧制度に加入していた期間(厚生年金基金、確定給付企業年金、企業年金連合会より資産を移換した場合)

強制移換されてからでも移換はできる

強制移換されてしまった場合でも、その資産を企業型や個人型(イデコ)へ移換することは可能です。この場合の手続きは、企業型・個人型(イデコ)のどちらに移換する場合も、強制移換をされていない場合と同じ手続きでできます。

強制移換者は約78万人も

ちなみに、2019年3月末時点での強制移換者は約78万人。強制移換のデメリットが知られていないのか、移換する必要があること自体が知られていないのか、それとも、それらを理解したうえで「どうせ積立するつもりも運用するつもりがないから、放っておけばいいや」という判断なのか。いずれにしても、これは確定拠出年金制度の大きな課題と言えそうです。
2020.10.22修正(初出2017.12.29)

まとめ

  • 会社で確定拠出年金に加入していた人が転職(中途退職)したときは、半年以内に資産を移換しましょう。
  • 期限までに移換手続きをしないと、様々なデメリットのある「強制移換」の対象となります。
  • 移換先は、転職先で企業型に加入する場合は企業型。そうでない場合は個人型(イデコ)。
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