2025.03.27老後のお金、年金 |
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NISAと確定拠出年金で創る、豊かな人生
老後資金の準備や将来に向けた計画を立てる上で、私たちの生活に欠かせない要素となっている「投資」。中でも、「NISA」や「確定拠出年金(iDeCoと企業型DC、以下『DC』)」は非常に有用な制度です。「ネットや動画で見て、始めようと思っているんだけど、なかなかね~」と後回しになってしまっている方も多いかもしれません。ですが、早い時期からこれらをうまく活用すれば、税制上の優遇を享受しつつ将来の不安を軽減することが可能です。
今回はそれぞれの制度について比較し、効果的な活用方法や投資する上で大切なことについてお伝えします!
1.NISAとDCの特徴
手始めに、NISA とDCの特徴を簡単に見てみましょう。
NISA: NISAは、銀行や証券会社等の金融機関で専用の口座を開き、その中で投資に対して得られた利益が非課税となる制度です。
通常、金融商品から得られた利益には20.315%の税金がかかります(例:投資元本が100万円で、売却時の評価額が150万円の場合、売却益の50万円に対して20.315%の税金(101,550円)がかかります)。しかし、NISA口座を利用して得られた利益については非課税ですので、101,550円分は手元に残ります。これを次の投資に回したりご褒美で何かを買ったりすることが可能です。
非課税期間は無期限、出し入れは自由ですので、長期的な資産形成はもちろんのこと5~10年といったスパンでの投資も可能です。
DC:自分の老後のために投資信託等で資産を積み立てる、個人のための年金制度です。NISAと同じく運用益が非課税であることに加え、所得税や住民税などの軽減効果や、受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除が受けられます。さらに引き出しは原則60歳以降という制約があるため、老後の資産形成に適しています。
補足:DCには個人型と企業型の2種類があります。
iDeCo(個人型):個人が自分で好きな運営管理機関を選び、加入します。運営管理機関は下記のサイトから確認することができるので、便利に使えるか、手数料がどれくらいか、どんな商品を購入できるかを確認の上、選択しましょう。
【公式】運営管理機関一覧|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
https://www.ideco-koushiki.jp/operations/
企業型DC:確定拠出年金制度を導入している企業で勤務する人が加入できます。原則、掛金は企業が負担しますが、個人が拠出できる場合もあります。金融商品は、勤め先が加入する運営管理機関の提供する商品の中から選ぶことになります。
2.こんな時にはこの制度を活用しよう!
それでは、具体的にどのような場面でどちらの制度を活用すべきかを見ていきましょう。NISAとDCの両方を使うこともできますので、自分の生活環境や収入、ライフスタイル等を総合的に考えて、まずは少額から始めると良いでしょう。
☞こんな場合はNISA
・投資は未経験! まずは半歩踏み出したい
・5年、10年程度のスパンで資産増加を目指したい
・沢山の選択肢の中から、自分の好きな商品を選びたい
・将来、個別株にもチャレンジしたい
投資を始める取掛かりとしてはNISAが良いしょう。ネットで口座開設が完結できるなど気負うことなく始められます。NISAで購入できる投資信託は、成長投資枠であれば約2300種類、積立投資枠では約300種類の中から選ぶことができます(2025年2月時点)。はじめは分からないことが多くても、色々な種類を楽しみながら投資を続けていけるかもしれません。
☞こんな場合はDC
・手元のお金は気付かないうちになくなっている
・上手に節税メリットを活かしたい
・確実に将来の老後資金を準備したい
・NISAではすでに投資済み、効率的に運用したい
このような場合であればDCが最適です。「原則60歳以降までは引き出せない」という点は、逆に考えれば「60歳までは絶対に手を付けず、大切にとっておくことができる」ということです。受け取り時は課税の対象となるため、金額が大きくなる場合は注意が必要ですが、老後資産を計画的に育てるためには優れた制度です。
NISA・DC両方に言えることとして、選択肢が多くてどの金融機関を選んだらいいか迷う場合もあると思います。そのような場合は、事前に金融機関が企画するセミナーなどに参加し、直接話を聞くことをお勧めします。自分の大切なお金を預けるのですから、どのような理念の会社なのか、どのような社員が働いているのかなどを実際に見て、検討していきましょう。
3.投資する上で大切にしたいこと
投資を始めると、つい「たくさん儲けたい!」と欲張ってしまったり、含み損を抱えた時に「投資なんてやらなければ良かった」と後悔したりすることがあるかもしれません。ですが、投資に波はつきものです。どんな時でも安定した気持ちでいられるよう、大切にしたいことを3つ、挙げていきます。
投資先を分散する:
一つの銘柄に集中投資するのではなく、色々な種類に分散する方法です。投資信託やETF(上場投資信託)など、複数の資産をまとめて購入できる商品を選ぶことも選択肢として有効でしょう。「卵を一つのかごに盛るな」という格言にある通り、複数の商品に分散することで、リスクを抑えながら運用を行うことができます。ただし投資に慣れていて心の平静さを保てるという方は、集中投資の方が効率的な利益を得られるかもしれないので、ご自身にあった方法を選択しましょう。
毎月一定額で購入する:
波がある中でもそのブレを抑えたい場合は、毎月同じ金額で同じ商品を購入する「積立投資」を活用するのが良いでしょう。DCは原則毎月掛金を掛けますから、自動的に積立投資をしてくれます。NISAを使う場合、積立枠ではない成長投資枠でも積立投資が可能です。積立投資の特徴は、市場の動きに関わらず一定額を定期的に投資するため、気が付いたら無理なく資産ができていた、という実感を得られるかもしれません。
人生を俯瞰して投資する:
投資において重要なのは、「人生全体を俯瞰して、自分のお金を何のために投資するか」という視点です。例えば、住宅購入や子どもの教育資金のために投資をする場合は、必要な期間と金額は目途を付けやすいと思います。目的に応じた投資期間、金額を設定して商品選びをするのが理想です。
一般的なライフイベントや年齢の他、もう一つ大切にして欲しいのは、自分自身の価値観と向き合うことです。「老後がとにかく不安だから」と、お金を貯める・増やすことばかりに集中し、自分が大切にしているもの、例えば健康やスキル、仕事、友人・家族関係などをおろそかにしてしまったらどうでしょうか。将来お金は十分確保できても、大切なものを失っているという状態になりかねません。
「投資」はどうしても「お金」の話になりがちですが、自分自身のスキルや今しかできない体験、家族や友人、仲間との時間の確保などの「財産」のために「お金」を投じるのも立派な投資です。お金を増やすことだけにとらわれず、自分自身の人生を俯瞰してお金を投資し、豊かな人生を送っていきましょう。